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2014年02月04日

おっぱいで育てる知恵

おっぱいで育てたいのに…と悩むお母さんがいる。

妊娠した時はおっぱいで育てたいと多くの人が考える。
いざ、出産して…
初乳の大切さはほぼ誰しもが知っているのでまずは母乳から始まる。
だが…
出生3日目まではほとんど母乳量が増えなく、赤ちゃんの体重は減っていく。
病院はリスク管理で粉ミルクを赤ちゃんに与える。
この時期にいかにおっぱいを吸ってもらうかがその後の母乳量に影響していく。
そのことを知らない医療者、母親は多い。
病院には出生体重に対して退院時の体重の目安が決められている。
それに満たないと粉ミルクを飲まされて、体重を増やされて退院となる。
人間は機械ではないので、どの人も退院までに十分おっぱいが出てくるわけではない。
粉ミルクを足されて、おっぱいが足りていないと思わされて、混合栄養がスタートとなってしまう。
この始まりがおっぱいで育てることを阻害することになってしまうことがよくある。

産まれた日から赤ちゃんと一緒に過ごし、1日に何回もおっぱいを吸わせていればおおむね殆どの人がおっぱいで育てられるようになる。
おっぱいはプロラクチンというホルモンで生産される。
赤ちゃんが乳首に吸いついて刺激が加わると、脳下垂体からおっぱいを作るプロラクチンが増える。
プロラクチンは一時的に増えるが約2、3時間くらいで減少する。
母乳の消化時間は60分。
1時間以上空けば赤ちゃんの胃の中におっぱいはないので授乳してかまわない。
大体2、3時間おきにおっぱいをあげていれば、そのたびにプロラクチンが増えて母乳量が増えていく。
1日に少なくても8回以上の刺激がプロラクチンを増やしていくのには必要なことが分かっている。
最初の3日間はほとんど母乳量は増えないが、赤ちゃんはその3日間母乳がほとんど飲めないことを前提に産まれてくる。
だから、粉ミルクを足さなくてもおっぱいが出てくるまで持ちこたえられることになっている。
この入院中の1週間、いかにおっぱいを吸わせるかが母乳育児のコツなのだ。

家事もしなくてもいい、赤ちゃんが寝ていれば昼だろうが夜だろうが一緒に眠れる。
上げ膳据え膳で赤ちゃんの世話だけしていればいい時期だから出来ることだ。
確かに夜も日もなく、ひたすら赤ちゃんの世話をし続けるのが大変じゃないわけではない。
こうして産まれてすぐに赤ちゃんとべったりと過ごすことが「母性のスイッチ」と言われるオキシトシンを増やしていくことにもつながっていく。

オキシトシンは陣痛時に大量に放出される。
子宮の収縮を促すために必要なホルモンだからだ。
陣痛は赤ちゃんが何らかのサインを母体に送ることで母親から放出されるのではないかと言われている。
陣痛は赤ちゃんが決めているらしい。
まだこのあたりのことは良く分かっていない。
そして、おっぱいを吸う刺激もまたオキシトシンを増やす。
オキシトシンは乳房の筋肉を刺激しておっぱいを出すホルモンでもある。
オキシトシンは「やすらぎと安心のホルモン」とも言われている。
人と人のふれあい(スキンシップ)がオキシトシンを増やすことも分かっている。
赤ちゃんも授乳のためにお母さんに抱っこされるとオキシトシンが出でくる。
こうしておっぱいをあげることがお母さんと赤ちゃんを幸せな気持ちにしてくれる。
おっぱいはストレス時には出にくくなることが分かっている。
オキシトシンはストレスを軽減するので母乳の分泌が良くなることも分かっている。

おっぱいで育てる好ましい循環はこうしてお母さんと赤ちゃんの努力で作り上げられていくのだ。
とにかく吸わせればおっぱいは出てくるものだし、哺乳類である人間は99%おっぱいで育てることが可能だ。
その為には正しい知識と適切な情報、新米お母さんをあたたかく見守り、励まし、ねぎらいサポートする人が必要なのだ。

粉ミルクで育てるにはミルク缶に目安が書いてあるし、哺乳瓶にメモリもあるから迷いにくい。
おっぱいは適切な情報が書いてあるマニュアルはないし、人によって言うこと違うし(専門家と言われる医療者で正しい知識知らない人もいるから)、良く分からなくて困ってしまう。
赤ちゃんももちろん新米で初めからそんなに上手におっぱいが吸えるわけでもない。
初めての体験は誰だって心細くもなるし、不安になるもの。
ましてや、出産でお母さんのホルモンシステムは大きく変動しブルーな気持ちになりやすい(マタニティーブルー)ことも分かっている。
だからこそ、適切に支えられることが大事なのだ。

すでに15年近くおっぱいで育てるお母さんたちをサポートし続けてきた。
私がとても残念なのは、今も昔もこの現状が殆ど変っていないことだ。
知らないがゆえに、支援が不適切なゆえにおっぱいで育てられるのに断念してしまう人がいる現実が歯がゆくなる。
だから私は続けてきたし、これからも続けていく。
母乳育児が親子関係にも大きく影響していくことも分かっている。
そのことについては次回に…



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Posted by Mako Takabayashi at 22:48│Comments(1)子育て
この記事へのコメント
こんばんは。
あまりにも、うなずく内容で・・
「正しい知識」を皆さんに伝える仕組みができないものかと思います。

私も小さな活動頑張ります。
Posted by 浜松「ひなたぼっこ」石川です!浜松「ひなたぼっこ」石川です! at 2014年02月05日 23:08
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プロフィール
Mako Takabayashi
Mako Takabayashi
1960年生まれ。魚座。B型。母乳育児支援、食と暮らしの市民活動、心の相談活動のボランティアなどに関わる。その後、シニア産業カウンセラー、中級教育カウンセラー、不妊カウンセラーの資格を取得。2019年には国家資格の公認心理師を取得。「みんな違って、みんないい」をモットーにカウンセリングルーム「マザリ―カウンセリング」を運営。小・中学校の相談員を10年間担当。小児科では、子育て支援を10年担当。産業保健では、企業でのカウンセラーや研修講師、メンタルヘルス対策支援も行ってきた。現在は、産業保健分野で企業のメンタルヘルス対策支援とスクールカウンセラーとして教育分野で活動中。趣味のジャズシンガーとしても活動中。好きなことは、ドライブや歌を歌うこと、そしてビール♪
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