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2009年01月25日

当事者になってわかること

今回の子どもの病気ではたくさんの「当事者になってわかること」を体験しました。

最近した出来事では…

後遺症のけいれん発作の治療のために専門性の高い病院に転院しました。
夫いわく…
「説明が論理的で分かりやすい」

今年になって私も診察に一緒について行きました。
仕事の都合でなかなか通院が一緒にできなかったので久しぶりでした。
実際発作時に対応しているのは一緒に就寝している私だけです。
夫も細かく説明できなくて困っていると言っていたのでその説明も兼ねての同行でした。

確かに夫の言う通り、論理的で簡潔な説明です。
EBM(医療的な根拠)を明確にし、専門性も高く、経験に基づいていました。
分かりやすく納得の行く説明で安心出来ました。

たったひとつ残念で心に残ってしまった出来事がありました。
脳炎後の脳の機能の状態について質問し、説明を聞いていた時でした。
「脳炎では深刻な状態に陥り脳の機能が回復が出来ない場合もある。
以前に比べて脳の機能が落ちてしまうものだ。
どこまで回復するかは分からないけれど…
お子さんの場合、珍しいくらいに回復し、けいれん発作以外目だった後遺症も出ていない。」
と言われたことです。
安心して欲しいために、慰めてくださっているのはわかりました。

ですが…
そんなことはわかりきっているほどわかっていることです。
命が助かっただけでもありがたいし、見た目は変わっていないし、日常生活では何の不便も出ていません。
だけど…
学力には問題が出ているし、勉強で困難な状態にはなっているのです。
高校受験を控え、今までがんばってきたのに…
病気になったことで進路を見直さざるを得なくなったのです。

親として何とかしてあげたいと思ってしまうし、出来ることならどんなことでもしてあげたくなってしまうものです。
論理的で最もな説明だっただけに「親の気持ちが分かってもらえなかった」と感じてしまったのでした。

たった一言で良かったのです。
「そうだね。」と…言って欲しかった…

出来ることと出来ないことがあるのはわかっているのです。
困っている人はただその困っていることに「そうだね。」と受け止めてもらえるだけで安心できるのです。

私はカウンセリングではどんな辛いことも「そうだね。」と受け止めようとしています。
当事者の経験がさらにそうすることの大切さを教えてくれました。

「なってみなければわからない」
最もで、実感の伴った言葉です。


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この記事へのコメント
「なってみなければわからない」本当に実感がこもった言葉ですね。
安易に励ます事が(相手を気遣っていたとしても)かえって人を傷つけ信頼関係を崩してしまう・・・。
なってみなければ自分にはわからないのだから相手の気持ちを理解しよう、受け止めようとする気持ちが大切なのですね。

学力の事、高校受験の事、心配ですね。
うちの子は来年受験ですが自分の事のようにどきどきします。
無事に受験を終えられますように、今回の経験が娘さんの人生の中でいつか生かされる日が来ますようにお祈りします。
Posted by モモ at 2009年01月26日 10:03
モモさん、コメントをありがとう。
話していることを相手がどう受取るかは相手が決めることなので、話している方が決められないことではあります。
だから話すことは難しいです。
相手が話すことで何を求めているのか…
その言葉に潜む思いを汲み取ることが大事です。
子どものかかりつけ医はそのあたりが上手いです。
「僕は専門医じゃないから分からないけど、良くなってくれるといいね。」と私が心配で話す子どもの病状に答えてくれます。
その言葉だけで私はいつも救われるのです。
医師として適切な説明ももちろん大切ですが、相手を思いやる言葉もあると嬉しいですね。
Posted by mammezzo at 2009年01月26日 21:15
Yahoo!から飛んで参りました。
はじめまして、さくらまみいと申します。
検索ワードは〈脳炎・学力低下〉でした。

実はうちの息子(9才)は1月末発症の脳炎で、約2か月の入院後 この新学期から登校し始めたばかりです。
入院中の学力低下は認められなかったのですが
(発症前の復習が主だったので…)
新学期からの学習に対する理解力の低下が気になっています。
本文中にある『病気になったことで進路を見直さざるを得なくなったのです。』
これは痛いほどよくわかります。
入院中は《ただ生きる事》が目標だったはずなのに
日常に戻ると、いろいろな欲が出てしまいます。
一番辛いのは本人のはずなのに、イライラしてしまう毎日です。
また遊びにきます。 
Posted by さくらまみぃ at 2009年04月15日 23:37
さくらまみぃ様、はじめまして
コメントをありがとうございます。

お気持ちをお察しします。
親として欲が出てしまうこと、本当にその通りですね。
お子様の回復を心から願います。

また、いらしてくださいね。
お待ちしています。
Posted by mammezzo at 2009年04月17日 01:26
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プロフィール
Mako Takabayashi
Mako Takabayashi
1960年生まれ。魚座。B型。母乳育児支援、食と暮らしの市民活動、心の相談活動のボランティアなどに関わる。その後、シニア産業カウンセラー、中級教育カウンセラー、不妊カウンセラーの資格を取得。2019年には国家資格の公認心理師を取得。「みんな違って、みんないい」をモットーにカウンセリングルーム「マザリ―カウンセリング」を運営。小・中学校の相談員を10年間担当。小児科では、子育て支援を10年担当。産業保健では、企業でのカウンセラーや研修講師、メンタルヘルス対策支援も行ってきた。現在は、産業保健分野で企業のメンタルヘルス対策支援とスクールカウンセラーとして教育分野で活動中。趣味のジャズシンガーとしても活動中。好きなことは、ドライブや歌を歌うこと、そしてビール♪
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